令和3年度事業計画

 日頃より東京都耳鼻咽喉科医会(以下都耳鼻)の活動にご理解、ご協力を賜り深く感謝申しあげます。

 昨年は新型コロナウイルス感染拡大により私たちの生活は一変しました。4月には緊急事態宣言が発出され、来院患者も激減しました。私は日本耳鼻咽喉科学会(以下日耳鼻)の地域医療委員会委員長を仰せつかっているため、この状況を正確に把握しておくことは後世のためにも欠かせないと考え、日本臨床耳鼻咽喉科医会(以下臨床耳鼻科医会)の地域医療委員会と合同で、耳鼻科開業医に向けてアンケート調査をさせていただきました。アンケートはこれまで4回行いましたが、ご協力いただいた先生方にはこの場を借りて改めてお礼申しあげます。初回アンケートで耳鼻科医の収入が激減し、特に都内耳鼻科医は全国で最も収入減となっていることが把握できました。このデータを元に臨床耳鼻科医会福與和正会長と日耳鼻村上信五理事長が厚労省に、私は各科医会協議会を通じて東京都医師会尾﨑治夫会長に支援を要請いたしました。都耳鼻では様々な情報を集め、利用できる支援が会員の先生方に有効に使われますよう、メール、faxなどにより積極的にご案内させていただきました。

 支援策の中でも診療検査医療機関(発熱外来)の制度は、地域の感染症疑い患者の受け皿にもなり、医療機関の支援にもつながるもので、自見はなこ参議院議員、臨床耳鼻科医会福與会長より耳鼻科医に対し詳細な説明がありました。全科では約2割の参加ですが、耳鼻科では5割の先生方が参加され、地域医療への貢献ならびに医療機関の経営改善の一助になったと思われます。

 さてコロナ禍では感染拡大防止のために集会や会合をすることが困難となりました。理事会も通常開催ができなくなったため、早くよりWeb開催に移行し、会の運営に支障が出ないようにしました。学術講演会・専門医講習もWeb開催とし、昨年度は学術部・専門医委員会の先生方のご努力により、7回も開催することができました。会員の皆様にもご理解ご協力いただきありがとうございました。

  今後もコロナに負けることなく、有用な情報の速やかな提供や講習会のWeb開催などを、新様式を取り入れながら積極的に攻めて行きたいと存じますので、よろしくお願い申しあげます。

 コロナでは尾﨑会長始め都医の先生方が一生懸命に取り組まれ情報発信されており、大変感謝しております。これまで防戦一方でしたが、ワクチンという武器が手に入りこれからは攻めに転じることができます。コロナ収束への第一歩です。ワクチン接種では多くの医療従事者の協力が必要となりますので、是非会員の先生方にもご協力いただけばと期待しております。

 また昨年4月には一般社団法人日本臨床耳鼻咽喉科医会が発足しました。全国の耳鼻科開業医、勤務医が会員となり、学会と協力しあって耳鼻科の発展に寄与していくことを目指しますが、都耳鼻はその下部組織となり臨床耳鼻科医会を支えていくことになります。

 臨床耳鼻科医会に入会する要件は、日耳鼻の会員であり、かつ各都道府県医会の会員であることなので、都内病院勤務の先生方が臨床耳鼻科医会に参加するためには、都耳鼻に入会していただかなければなりません。首都東京の勤務医の先生方が臨床耳鼻科医会に参加され、医会の組織をしっかり固めることは、耳鼻科の発展に欠かせません。

 このため都耳鼻は50年以上にわたる主に開業医の集まりから、開業医と勤務医すべての耳鼻科医の集団へと脱皮することが不可欠となりました。病院勤務医の先生方が入会しやすいように入会金を無料にし、勤務医の先生方の入会・支援がスムーズに進むように勤務医部を設けました。今後の会員数の増加に備え、代表者( 地区代表者)の人数の割合もこれまでの会員10人に一人から、15人に一人に減らしました。このような会則の大幅変更は、昨年の地区代表者会でお認めいただき、改めて厚く御礼申しあげます。

 勤務医の先生方に入会していただく下地が整ったため、東京都地方部会第84号会報に特集を組ませていただき、地方部会加我君孝先生と連名で、医会入会のご案内を掲載しました。さらに都内13大学の主任教授には、加我先生と私の署名を添えて、医局の先生方のご入会をお願いいたしました。加我先生には深くご理解ご協力を賜り、大変感謝しております。今後はさらに勤務医の先生方の入会を進めて参りたいと存じます。皆様方におかれましても、お知り合いの大学の先生や病院の先生方に、都耳鼻ならびに臨床耳鼻科医会へのご入会を積極的に働きかけていただきますよう、よろしくお願い申しあげます。

 臨床耳鼻科医会はコロナ禍のまっただ中に発足しいきなり課題山積となりましたが、誕生したばかりにもかかわらず福與会長のご指導の下、積極的に活動されております。日耳鼻と常日頃より情報交換をし、両組織合同の委員会を開いて、協力しながら事業を進めています。日耳鼻では地域医療委員会が設立され、東京都地方部会でもそれを受けて同委員会が設置されました。都耳鼻でもこれからは地方部会と合同で委員会を開く機会が増えていくことと存じます。地方部会とはより緊密に連携を取りながら、事業を進めて参りたいと存じます。日本医師会、東京都医師会、各地区医師会、各地区耳鼻咽喉科医会、東京都各科医会協議会などとも引き続き連携して参ります。

 コロナのために活動が制限され気持ちが萎縮しがちですが、決してコロナに負けることなく、今後とも地域医療の向上に努め、都民のために尽くして行く所存でございます。従来に増したご支援ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

1. 庶務部

 1)地区代表者会 年1回(定例)、緊急の場合は臨時に開催する

2)理事会 月1回(定例)、必要の場合は臨時に開催する

3)地区医会長協議会 年1回(定例)地区医会との連携を強めるため開催する

4)日耳鼻東京都地方部会医療研究会 年1回(定例)日耳鼻学会東京都地方部会との連絡会に

参加する

5)日耳鼻学会東京都地方部会と常時連携し、東京都医師会、東京都各科医会協議会とは必要の

都度連絡協議すると共に、本会の要望を反映せしめるよう努める

6)緊急時対策委員会を必要に応じ招集する

7)年々増大する本会の事務量を効率良く処理し得るよう事務機構を整備する

8)情報の面から本会の組織と運営を再検討する

9)会則検討委員会を必要に応じ開催する

10その他本会の会務遂行に必要な事項の処理に当たる 

 

2. 財務部

 1)地区耳鼻咽喉科医会の会計担当者と連絡を密にし、会費の納入の正確を期する

2)諸経費を適正に運用し、会務及び事業の運営を円滑にする

3)収入増、支出減を期し、東京都耳鼻科医会会計の更なる安定を図る

 

3.会報部

 1)「都耳鼻会報」を継続し、原則として年3回発刊する

   また、会報委員会にて掲載内容を協議する

2)理事会における協議内容や決定事項を掲載し、医会の主張を内外に広報する

3)学術講演会の論文、トピックスとなる学術的事項や保険医療のページの充実をはかる

4)会員の関心事を正しく反映させ、必要な情報の伝達をはかる

   また医療情報に関連し、今後予定される通達や改定事項を明確に伝える

5)地区医会の動きや新入会員の紹介を行う

6)会員同士の意見交換と親睦に役立つ会報の発刊を志す

7)東京都各科医会協議会の広報活動に協力する

8)広告掲載会社の増加に努力する

 

4.広報・情報処理部

1)ホームページの管理運用

「都内の休日の耳鼻咽喉科(救急)」を今後も毎月更新する

医会講演会の予定を継続して載せる

   その他情報を適宜更新し、常に新鮮で有効な情報を提供する

2)インターネット等より得られた医療情報の提供

3)医療機関に求められているICT技術等の情報の提供

4)事務局のICT

   理事会でパソコン・プロジェクター・無線LANを活用していく

5)講演会でのカードリーダ、ノートパソコンの購入ならびに運用

5. 学術部

 1)会員が耳鼻咽喉科医として必要な知識および技術の向上を図るとともに、新専門医制度での

  耳鼻咽喉科専門医更新に必要な共通講習および領域講習の受講単位を取得できるように、

  学術講演会・講習会を開催する。

2)講演内容は、日常診療に役立つものから最先端医療にいたるまで多岐にわたって取り上げる。

3)また保険診療に関する情報を適時提供する。

 4)講演会・講習会は、新型コロナ感染状況により対面集会が困難な場合はWEB開催とする。

  WEB開催の場合は領域講習1演題とする。その場合は領域講習1演題、状況により領域2演題、

  共通・領域を組み合わせた2演題、とする。

 

6. 専門医委員会

 1)新専門医制度への対応について引き続き検討する

2)医会の主催する講演会・講習会は共通講習・領域講習として日耳鼻専門医制度委員会に申請する。

3)認可された講習会においては、対面集会ではICカード、WEB開催ではWEBシステムによる受講

記録をもって、それぞれに対応した受講システムを用いる。

4)開催後は受講実績を日耳鼻専門医制度委員会に速やかに報告する。

5)共通講習の単位取得については日本専門医機構または日本医師会が企画するe-learning講習

なども活用していただく。

6)ホームページに講習会の予定を掲載する。

7)講習会の内容を都医会報誌に事後掲載する。

7.保険医療部

  1)日本耳鼻咽喉科学会(以下日耳鼻学会)並びに日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会

(以下 東京都地方部会)の保険医療委員会と密接に連絡をとり、日耳鼻学会及び

東京都地方部会の主催する会議に参加し、必要な情報を会員に提供する   

2)都耳鼻医会の学術講演会でワンポイントアドバイスとして保険医療に関する情報提供を行う     

 

8.会員福祉部

  1)医業経営についての情報を収集整理し、会員に必要な情報を提供する

2)オージオメータ使い方講習会を開催する

3)会員の保険事業を継続する

9.学校保健部

 1)日耳鼻・臨床耳鼻科医会が実施する、健康診断全国定点調査に引き続き協力する

2)児童生徒への健康教育の実践に努める

3)障害のある児童生徒への、学校における合理的配慮について検討する

4)日耳鼻学校保健委員会作成の「学校での音声言語障害の検診法(改訂版)」に基づく音声

言語障害検診の実施と、その適切な事後措置についての普及、啓発に努める

5)日耳鼻学校保健委員会作成の「耳鼻咽喉科健康診断マニュアル」の活用につき、

その啓発に努める

6)軽・中等度難聴児の早期発見とその対応に努める

7)日耳鼻・臨床耳鼻科医会学校保健全国代表者会議ならびに研修会、日本医師会全国

学校保健学校医大会および学校保健講習会、東京都医師会学校保健研修会等に積極的に

参加する

  

10医事問題部

  1) 医療訴訟、医師の刑事訴追や医療事故の内容、医療事故調等に関する情報を収集し

会員に通達する

2)日耳鼻東京都地方部会医事問題委員会と連携を図る

3)東京都医師会医事紛争処理委員会にて発言及び情報収集に努める

11休日診療部

 1)東京都耳鼻咽喉科医会の重要事業としての休日診療を円滑に実施する

2)当番医の欠員のないように、会員への当番医の依頼は早めにおこない、会員の協力を得やすく

するなど、休日診療への会員の参加を求めていく

3)休日診療の年間統計を整理し、会員に情報を提供する

4)救急診療検討委員会に参加し、会員にとっても望ましくまた、東京都、都民の要望もできる

かぎり答えられる形となるよう検討する

5)東京都、東京都医師会と上記の目的にそって話し合いをする

12. 救急診療検討委員会

 1)多くの会員に達成感をもって参加していただけるように検討する

2)引き続きセンター化について検討する

3)後送病院を充実できるよう検討する

 4)東京都福祉保健局、東京都医師会と会合をもつ


13地域医療部

  1)聴覚言語障害委員会

(1)聴覚・言語障害を行政、教育、医療、社会福祉の面で検討する

     日耳鼻の学校保健委員との連携が必要と考えられる

  2)アレルギー委員会

(1) 学術部と協力してアレルギー性鼻炎関連講習会を開催する

(2) 花粉症を含むアレルギー性鼻炎に関する情報を収集し、会員配信する

3)健診事業検討委員会

(1) 喉頭がん検診

      各地区の喉頭がん検診の成績を集計報告し、喉頭がん検診の普及に努める

(2) 耳鼻咽喉科に関する生涯の健康審査(一歳六ヶ月健診、三歳児健診、高齢者

健診(聴力検診)等)について対策検討及び情報収集を行う

4)在宅医療委員会

(1)多くの耳鼻咽喉科医が在宅診療に参加するよう啓発する

(2)地区代表者を通して摂食嚥下障害の講習会を開催し、多職種との連携を深める

(3)定期的に行われている保健所主催の「摂食嚥下障害対策推進事業関係者協議会」に参加する

 

    14勤務医部

        1)東京都内の勤務医の入会を促すための活動を計画する。

 2)  毎年2月に行われる医療研究会において、出席した都内の各病院部長に医局員の入会

を促す。

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東京都耳鼻咽喉科医会