令和2年度事業計画

 

 日頃より東京都耳鼻咽喉科医会(以下都耳鼻)の活動にご理解、ご協力をいただきありがとうございます。  

 COVID-19の感染拡大防止ならびに先生方の安全確保のため、学術講演会、診療報酬改定説明会等を中止とさせていただきました。皆様にはご迷惑をおかけしましたが、ご理解いただきありがとうございました。47日には緊急事態宣言も出され、STAY HOMEをスローガンに皆様外出を控えておりますが、理事会もweb会議にして対応しております。最近は外出自粛の効果も出てきたのでしょうか、都内の新規感染者も減って参りました。今後は緊急事態宣言が解除された後も気を抜くことなく、新しい生活様式により、感染症の終息に向けて努力して参りたいと存じます。

 私たちの診療スタイルも大部様変わりしました。患者さんの激減により医療収入は大きく落ち込みましたが、都耳鼻、日本臨床耳鼻科医会からもご案内させていただきましたように、特別定額給付金を始め、持続化給付金、雇用調整助成金等々の助成がありますので、しっかり使って皆でこの難局を乗り越えて参りましょう。

 さて昨年11月に日本臨床耳鼻咽喉科医会が設立され、今年4月に法人化して一般社団法人日本臨床耳鼻咽喉科医会(以下臨床医会)となりました。臨床医会設立に際し、会員の皆様には設立準備金納入にご協力いただいたことに、ここで改めてお礼申し上げます。

 どの科も学会は学術面を、医会は臨床面を担い、お互いに協力しあってその科の発展に寄与しております。念願の臨床医会設立を祝い、今後益々耳鼻科が発展していくことを祈念申し上げます。都耳鼻としては今後も臨床医会の発展に全面的に協力していく所存です。

 臨床医会では開業医だけでなく、大学病院や一般病院の勤務医の先生方にも加わって頂き、耳鼻科医がオールジャパンとして取り組んでいくことになりました。臨床医会に入会するためには日耳鼻学会会員で、なおかつ各都道府県医会会員でなければなりません。都耳鼻はこれまで50年以上主に開業医の集まりでしたが、臨床医会をサポートするためにも、病院勤務の先生方に広く入会していただくことになります。そのために会則の改定が必要となり、会則改定委員会を設け改定案をまとめましたので、後ほどご審議の程、よろしくお願い申し上げます。今までの都耳鼻の良さを残しつつ、大きく発展して参りたいと存じます。

 臨床医会の会長には福與先生が、顧問には森山日耳鼻学会理事長と横倉日本医師会会長がつかれます。都耳鼻からは中澤副会長が広報・渉外担当理事に、大島理事が学校保健担当理事に、またこれまで臨床医会設立にご尽力された岩佐理事が監事になられました。先生方のご活躍を期待すると共に、都耳鼻としてもしっかり支えて参りたいと存じます。

 臨床医会の設立により、学会のあり方も変わって参ります。毎秋 専門医講習会が行われておりましたが、今年からは専門医講習会の他に、従来の夏期講習会、補聴器相談医講習会、さらに臨床医会による臨床医会セッションが加わり、名称も秋季大会となります。今年の臨床医会セッションは医会設立記念講演会として日耳鼻学会理事長の森山寛先生、日本眼科医会会長の白根雅子先生、参議院議員で厚労大臣政務官の自見はなこ先生のご講演が予定されています。

 自見はなこ先生は自民党難聴対策推進議員連盟の事務局長をされていますが、連盟では“Japan Hearing Vision”を取りまとめ、ムンプスワクチン予防接種の促進、全ての新生児に聴覚検査の実施・全額公費負担の実現、難聴児への支援、高齢者への聴覚検査システムの構築、補聴器購入に対する助成の拡大等々を打ち出しました。今後の活動に協力して参りたいと存じます。当会からは副会長の中澤先生が関わっております。

 4月には診療報酬改定がございました。今回は医師等の働き方改革の推進、ICTの利活用など質の高い医療の実現、地域包括ケアシステムの推進、効率化により持続可能な制度などを目指して改定されました。医科の改定率はわずか+0.53%でしたが、各科の処置や手術に重点が置かれ、耳鼻科も外来処置に増点が多々あり、久しぶりに我々にとって前向きな改定だったと思います。今後も引き続き保険点数の動向に注視して参りたいと存じます。

 都耳鼻の公益事業として行われている休日診療ですが、東京都と東京都医師会の契約を都耳鼻が請け負う形で40年以上続けられております。耳鼻科の休日診療が今後も安定して継続できるよう、救急診療検討委員会の答申を受け、診療受け持ちブロックをなじみの深いブロックに改正しました。地区医会を代表する先生方からも働きかけていただき、一人でも多くの先生方に休日診療にご参加いただきたく、改めてご理解ご協力をお願い申し上げます。また会員各々の自院に患者を受け入れる診療方式のみでなく、センター方式の採用も視野に入れ、東京都や東京都医師会と協議しながら運営して参りたいと考えております。

 学術講演会は共催メーカーの撤退が続き協賛金も減少し、今後は貸し会議室や懇親会なしでの開催が増えるのはやむを得ない状況です。また専門医講習ではICカードシステム運用のために、専門医委員会の先生方が毎回自前のパソコンを細かく設定した上で持参しており、これまで以上に手間がかかっております。そのため講習会費を値上げさせていただきました。今後も厳しい状況が続きますが、引き続き積極的に企画して参りますので、ご理解ご協力いただければ幸いです。

 関連諸機関とも連携を密に保って参ります。日本耳鼻咽喉科学会との連携はもとより、地元東京都地方部会とは多方面にわたり共同事業に取り組んでおります。年間を通じてみますと医療研究会、診療報酬改定説明会、地方部会総会、学校保健委員会の共催など緊密です。前述のように、これから都内病院勤務の先生方にも都耳鼻への入会をお勧めしなければなりませんが、その際にも地方部会の協力は欠かせないため、今後とも情報交換を密にして進めて参ります。さらに、臨床医会はもとより、日本医師会、東京都医師会、東京都医師会学校医会、各地区医師会、各地区耳鼻咽喉科医会、東京都各科医会協議会、などとも引き続き連携して参ります。

 今年は全国的には臨床医会が始動し、都耳鼻医会では新たに病院勤務医の先生方を迎え入れて「新生都耳鼻医会」となり、医会にとっては大きな区切りとなる「医会元年」と言えるかも知れません。新たなことに挑戦しつつも、継続事業に関しては心を新たに業務に取り組み、広く各界とも連携を保ちつつ地域医療の向上に努め、都民のために尽くして行く所存でございます。従来に増したご支援ご協力を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

 

 

各部ごとの事業計画

1)庶務部:各部、各委員会に係わる、日々変化する諸状況を総括的かつ正確に把握し都耳鼻事業が円滑に運営されるよう努める。

2)広報部:都耳鼻の機関誌「都耳鼻会報」を発行する。

医療情報、保険医療情報、危機・緊急事態の情報を正しく会員に伝達する役目を持つ。都耳鼻主催の学術講演会記録、講習会内容を起文、論文化して掲載し、常に会員に役立つ会誌になるよう努める。

 なお随筆や論評など会員が自由に意見、希望、感想、体験を述べるコラム「随想」も設けられているので、会員皆様の投稿をお待ちしている。

3)情報処理部:更なるインターネットの活用に努め、広報部とも連携して迅速に情報を入手し会員に伝達する。社会保険部とも連携し、レセプト請求、診療報酬改定等に係る諸問題に対応する。

 都耳鼻ホームページは今後も休日診療医療機関予定表を掲載し、内容の充実を図る。緊急時対策委員会とも連携し、新型感染症発生時や災害時には必要に応じ迅速な情報を提供する。

4)学術研修部:会員が専門医として備えるべき医学的知識が得られると同時に、最新の医学情報が理解会得できる学術講演会を開催する。専門医講習を行い、専門医資格の維持や取得に役立たせ、ICカードの運用管理を行う。

 学術集会を共催するメーカー数の減少、協賛金の減少している現状を鑑み、会場を厳選したり懇親会を省くなど会の在り方を検討する。

5)社会保険部:医療制度改正、診療報酬改定が行われるごとに正確な変更点とその解釈、対応を広報部、情報処理部、学術研修部とも連携して会員に伝達する。必要に応じ情報を会員に伝達するための会合を設け周知を図る。

6)福祉部:会員に利益をもたらす事業を企画し実行する。

臨床家向け補聴器講習会、会員の診療所・病院職員を対象とした聴力検査講習会を開く。

7)学校保健部、地域医療部(聴覚言語障害委員会、健診事業検討委員会、アレルギー委員会、在宅医療委員会):都民と直接接触を持つ大切な部門であるが、各部門(委員会)と相互に連絡協力し、また外部関連組織とも提携を持ちながら都民の健康保持と向上に尽くす。

8 医療制度部:医事法制の改定の折りには、正確な解釈と対応を会員に伝達する。医療事故事例を紹介しその分析から事故の防止や対応を伝える。

9)休日診療部、救急診療検討委員会:大綱はすでに述べたが、今後も都内の耳鼻科領域の救急患者に対して安定した初療が提供され、また担当医師が不安なく業務に集中できることを目指す。

 従来に増し都医師会、東京都との連携を密にし、先述のセンター方式体制の実現に努める。

10)緊急時対策委員会: COVID-19等新型感染症や届け出義務のある感染症の感染拡大が危惧される場合、或いは広範な災害発生時に本委員会を招集し、状況把握とともに正確な対処法等を発信するよう努める。

11) 勤務医部:会則改定後に発足予定。都耳鼻に病院勤務医が加わるため、勤務医に取って有益な会となるよう、その方策について検討してもらう。

 

 

1. 庶務部

 

1)地区代表者会 年1回(定例)、緊急の場合は臨時に開催する

2)理事会 月1回(定例)、必要の場合は臨時に開催する

3)地区医会長協議会 年1回(定例)地区医会との連携を強めるため開催する

4)日耳鼻東京都地方部会医療研究会 年1回(定例)日耳鼻学会東京都地方部会との連絡会に参加する

5)日耳鼻学会東京都地方部会と常時連携し、東京都医師会、東京都各科医会協議会とは必要な都度連絡協議すると共に、本会の要望を反映せしめるよう努める

6)緊急時対策委員会を必要に応じ招集する

7)年々増大する本会の事務量を効率良く処理し得るよう事務機構を整備する

8)情報の面から本会の組織と運営を再検討する

9)会則検討委員会を必要に応じ開催する

10その他本会の会務遂行に必要な事項の処理に当たる

 

2. 財務部

 

1)地区耳鼻咽喉科医会の会計担当者と連絡を密にし、会費の納入の正確を期する

2)諸経費を適正に運用し、会務及び事業の運営を円滑にする

3)収入増、支出減を期し、東京都耳鼻科医会会計の更なる安定を図る

 

3.広報部

 

1)「都耳鼻会報」を継続し、原則として年3回発刊する

  また、広報委員会にて掲載内容を協議する

2)理事会における協議内容や決定事項を掲載し、医会の主張を内外に広報する

3)学術講演会の論文、トピックスとなる学術的事項や保険医療のページの充実をはかる

4)会員の関心事を正しく反映させ、必要な情報の伝達をはかる

  また医療情報に関連し、今後予定される通達や改定事項を明確に伝える

5)地区医会の動きや新入会員の紹介を行う

6)会員同士の意見交換と親睦に役立つ会報の発刊を志す

7)東京都各科医会協議会の広報活動に協力する

8)広告掲載会社の増加に努力する

 

4.情報処理部

 

1)ホームページの管理運用

「都内の休日の耳鼻咽喉科(救急)」を今後も毎月更新する

医会講演会の予定を継続して載せる

  その他情報を適宜更新し、常に新鮮で有効な情報を提供する

2)インターネット等より得られた医療情報の提供

3)医療機関に求められているICT技術等の情報の提供

4)事務局のICT

  理事会でパソコン・プロジェクター・無線LANを活用していく

5)講演会でのカードリーダ、ノートパソコンの購入ならびに運用

 

5. 学術・研修部

 

1)会員が耳鼻咽喉科医として必要な知識および技術の向上を図るとともに、新専門医制度での耳鼻咽喉科専門医更新に必要な専門医共通講習および耳鼻咽喉科領域講習の受講単位を取得できるように、学術講演会・講習会を年4回以上開催する。

2)講演内容は、日常診療に役立つものから最先端医療にいたるまで多岐にわたって取り上げる。

3)また保険診療に関する情報を適時提供する。

4)講演会・講習会終了後には、講師を交えた情報交換会を可及的行う

 

6.専門医委員会

1)新専門医制度への対応について引き続き検討する

2)医会の主催する共通講習・領域講習を日耳鼻専門医制度委員会に申請する

3)認可された講習会においては、引き続きICカードによる受講システムを用いる

4)開催後は受講実績を日耳鼻専門医制度委員会に速やかに報告する

5)ホームページに講習会の予定を掲載する

6)講習会の内容を都医会報誌に事後掲載する

 

7.社会保険部

 

1)日本耳鼻咽喉科学会(以下日耳鼻学会)並びに日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会(以下東京都地方部会)の保険医療委員会と密接に連絡をとり、日耳鼻学会及び東京都地方部会の開催する会議に参加し、必要な情報を会員に提供する

2)都耳鼻医会の学術講演会でワンポイントアドバイスとして保険医療に関する情報提供を行う

 

8.福祉部

 

1)医業経営についての情報を収集整理し、会員に必要な情報を提供する

2)補聴器に関する講習会を開催すると共に実技研修会を行なう

3)会員の保険事業を継続する

 

9.学校保健部

 

1) 日耳鼻学校保健全国代表者会議ならびに研修会、日本医師会全国学校保健学校医大会

および学校保健講習会に参加する

2) 東京都医師会学校医会、学校医委員会および東京都学校保健会との連携に努める

3) 児童生徒への健康教育の実践に努める

4) 障害のある児童生徒への、学校における合理的配慮について検討する

5) 日耳鼻学校保健委員会編「学校での音声言語障害の検診法」に基づく音声言語

障害健診の実施と適切な事後措置について、会員への普及と啓発に努める

6) 言語発達障害の原因ともなる、軽・中等度難聴児の早期発見とその対応の重要性に

ついて、会員への普及と啓発に努める

7) 日耳鼻学校保健委員会が実施する、健康診断全国定点調査に引き続き協力する

 

10医療制度部

 

1) 医療訴訟、医師の刑事訴追や医療事故の内容、医療事故調等に関する情報を収集し会員に通達する

2) 日耳鼻東京都地方部会医事問題委員会と連携を図る

3) 東京都医師会医事紛争処理委員会にて発言及び情報収集に努める

 

11休日診療部

 

1)東京都耳鼻咽喉科医会の重要事業としての休日診療を円滑に実施する

2)当番医の欠員のないように、会員への当番医の依頼は早めにおこない、会員の協力を得やすくするなど、休日診療への会員の参加を求めていく

3)休日診療の年間統計を整理し、会員に情報を提供する

4)救急診療検討委員会に参加し、会員にとっても望ましくまた、東京都、都民の要望にもできるかぎり答えられる形となるよう検討する

5)東京都、東京都医師会と上記の目的にそって話し合いをする

 

12. 救急診療検討委員会

 

1) 多くの会員に達成感をもって参加していただけるように検討する

2) 引き続きセンター化について検討する

3)後送病院を充実できるよう検討する

4)東京都福祉保健局、東京都医師会と会合をもつ

 

13地域医療部

 

1)聴覚言語障害委員会

(1)  聴覚・言語障害を行政、教育、医療、社会福祉の面で検討する

     日耳鼻の学校保健委員との連携が必要と考えられる

 

2)アレルギー委員会

(1)  学術・研修部と協力してアレルギー性鼻炎関連講習会を開催する

(2)  花粉症を含むアレルギー性鼻炎に関する情報を収集し、会員配信する

 

3)健診事業検討委員会

(1)  喉頭がん検診

     各地区の喉頭がん検診の成績を集計報告し、喉頭がん検診の普及に努める

(2)  耳鼻咽喉科に関する生涯の健康審査(一歳六ヶ月健診、三歳児健診、高齢者健診(聴力検診)等)について対策検討及び情報収集を行う

 

4)在宅医療委員会

 (1) 多くの耳鼻咽喉科医が在宅診療に参加して下さるよう依頼する

(2)  地区代表者を通し、摂食嚥下障害の講習会を行い、多職種との連携を深める

(3) 毎年定期的に行われている、保健所主催の「摂食嚥下障害対策推進事業関係者協議会」に参加する


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