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東京都耳鼻咽喉科医会

令和元年度事業計画

 

日頃より東京都耳鼻咽喉科医会(以下都耳鼻)の活動にご理解、ご協力をいただきありがとうございます。   

 

 都耳鼻運営に関わる事業計画をお話しする前に、近年の医療を取り巻く状況と都耳鼻の事業活動の現況につき若干お話し致します。

 我が国の高齢化社会への対策が必要なことは毎日のように叫ばれておりますが、昨今はさらに身近に感じられます。間もなくやって来る2025年には第一次ベビーブームで生まれた人々、つまり団塊の世代の人達が75歳を超えて2180万人の後期高齢者となり、国民の5人に1人となります。65歳以上の高齢者数は3677万人にのぼり、現役(1564)の国民2人で1人の高齢者を支えることになります。さらに2042年には高齢者は3935万人とピークとなり現役の国民1.5人が高齢者1人を支えることになり、目前に迫った超高齢社会における医療、介護、福祉とそれらにかかわる関連サービスの整備が急務となっております。

この超高齢社会の対応策を具体的にみますと 住みなれた地域で自分らしい暮らしができる地域包括ケアシステムの実現で、それにはまず在宅支援と介護の充実等が挙げられます。少し掘り下げ耳鼻科が提供できる支援を考えますと加齢による難聴者や嚥下障害者に対する支援で、耳鼻科医はこれらの人達と早くから接し、正しい診断、適切な加療、指導を行う等が挙げられます。このうち難聴は認知症発症の危険因子で早期に老齢の難聴者を見出し、適合した補聴器装用を指導することは認知症予防につながります。ちなみに2025年における高齢者3677万人の中には約700万人の認知症患者が含まれるといわれています。一方嚥下障害に起因する誤嚥性肺炎による死亡者数は高齢者の死因の第三位を占める程高頻度にみられ、障害の診断、加療、指導にあたっては耳鼻科が積極的に関与して耳鼻科医が持つ医療特技を発揮することが求められます。これを実働するためには医師を含めこれに関わる人達の増員と将来を見据えた人材の育成も欠かせません。行政の協力や他科の技術の活用、他職種の特技との連携も必要になるでしょう。

日進月歩のICT化は医療面にも及んでおり、東京都では平成3011月より東京都医師会が中心となって構築した東京総合医療ネットワークの運用が始まりました。                       これは東京都の持つ特殊性に対応した地域包括ケアを実現することを目的として

おり、地域の医療機関と介護サービス事業者との連携をサポートするものです。まず都内の8病院が選ばれ各病院間の連携による患者情報共有を基軸にして、検査結果や処方内容などの医療情報も交換できるネットワークです。今後は段階的に診療所間にも相互に接続される予定です。全国的には「未来投資戦略2018」の中に掲げられている全国保健医療情報ネットワークは2020年度内の稼働を目標とされております。次に耳鼻科に関連する医療界、都耳鼻内のいくつかの話題や出来事をお伝えしたいと思います。        

 

〇診療報酬が改定されます

今年10月には消費税が10%に引き上げられますが、これに対応するべく同月に診療報酬が改定されます。本体で0.41%、医科は0.48%の引き上げとなります。無床診療所では初診料、再診料の引き上げという形で補填するそうです。

都耳鼻では診療報酬改定関連の講習会を改定公示の都度開いて、新改定の解釈や運用につきお知らせしていますが、日常おこる疑義などにも常時調査を行い、適正な診療報酬請求のあり方も研究して参ります。

 

〇新生児聴覚検査(新生児スクリーニング)に補助金が交付されます

日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会はじめ関連諸機関の尽力で新生児スクリーニングに対し1億円の都予算がつき、本年4月より1件あたり3000円の補助金が交付されることになりました。これまで新生児スクリーニングの普及率は約8割に止まっていましたが、この決定により普及は加速されるものと思われます。

 

〇全国耳鼻咽喉科医会が設立されました

日本耳鼻咽喉科学会の主導ですべての県に医会が設けられましたが、これを契機とし昨年(平成30年)71日に全国耳鼻咽喉科医会が設立されました。さらに発展させ学会傘下から独立した新しい組織である一般社団法人日本臨床耳鼻咽喉科医会の創立を来年に目指し、目下は定款・細則の作成、事務局開局準備、運営資金の確保、予算の編成等々に努力を傾倒しております。都耳鼻会員の先生方にも設立準備金の拠出をお願いすることになろうかと存じますが、どうぞご理解を賜りご協力を頂けますようお願い申し上げる次第です。

 

〇休日診療体制の維持発展に取り組みます

都耳鼻事業の中で重要な位置にあり、また都民に貢献する地域医療活動の主活動である休日診療は、40年を越え続けられております。本事業は東京都と東京都医師会間の契約により行われており、これを都耳鼻が請け負う形で実施されております。今後も安定した耳鼻科の休日診療が継続できるよう、休日診療部の中に「救急診療検討委員会」を設け多角的に検討し論議を重ねた結果、以下のような改正を加えることになりました。すなわち診療受け持ち区分つまりブロックを都耳鼻休日当番特有のものから、東京都地方部会・都耳鼻で広く用いているA~Fの6ブロック制に改正しました(詳細は都耳鼻会報第158号をご覧下さい)。同時に会員各々の自院に患者を受け入れる診療方式のみでなく、センター方式(医師が指定医療機関に赴く)の採用も視野に入れ、東京都、東京都医師会と連携しまた協議しながら運営したいと考えております。

 

〇諸団体との連携を保ちます

都耳鼻と関連する 学会をはじめとする諸機関や団体とは連携を密に保ってまいります。日本耳鼻咽喉科学会との連携はもとより、地元東京都地方部会とは連携以上の関係から多面にわたる事業にも参画しております。年間を通じてみますと医療研究会、診療報酬改定説明会、学校保健委員会や専門医講習会システム説明会の共催など従来に増して緊密です。学会以外の諸団体とも提携してまいりますが、全国耳鼻咽喉科医会(一般社団法人日本臨床耳鼻咽喉科医会に移行予定)、日本医師会、東京都医師会、東京都医師会学校医会、各地区医師会、各地区耳鼻咽喉科医会、東京都各科医会協議会、東京都養護教諭研究会などが挙げられます。

 

都耳鼻組織内各部ごとの事業計画

1)庶務部:各部、各委員会に係わる日々に変化する諸状況を総括的かつ正確に把握し都耳鼻事業が円滑に運営されるよう努める。

2)広報部:都耳鼻の機関誌「都耳鼻会報」を発行する。                       

医療情報、医療保険情報、危機・緊急事態の情報を正しく会員に伝達する役目を持つ。都耳鼻主催の学術講演会記録、講習会内容を起文、論文化して掲載し、常に会員の役に立つ会誌になるよう努める。

なお随筆や論評など会員が自由に意見、希望、感想、体験を述べるコラムも重要な部分として「随想」の名で設けられているので、会員皆様の投稿をお待ちしている。

3)情報処理部:更なるインターネットの活用に努め、広報部とも連携して迅速に情報を入手し会員に伝える。社会保険部とも連携し、レセプト請求、診療報酬改定等に係る諸問題に対応する

  都耳鼻ホームページは今後も休日診療医療機関予定表を掲載し、内容の充実を図る。

4)学術研修部:会員が専門医として備えるべき医学的知識が得られると同時に最新の医学的情報が理解会得できる学術研修会、講演会を開催する。専門医講習会を行い、専門医資格の維持や取得に役立たせ、ICカードの運用管理を行う。

学術的集会開催を協賛するメーカー数が激減し同時に協賛金も漸減している現状に鑑み、会場を厳選したり懇親会を省くなど会の在り方を検討する。

5)社会保険部:医療制度改正、診療報酬改定が行われるごとに正確な変更された内容とその解釈、対応を広報部、情報処理部、学術研修部とも連携して会員に伝達する。この目的に沿い情報を会員に伝達する会合を設け周知を図る。

6)福祉部:会員の利益をもたらす企画に従い実行に向かう。

臨床家向け補聴器講習会、会員の診療所・病院職員を対象とした聴力検査講習会を開く。

7)学校保健部、地域医療部(聴覚言語障害委員会、健診事業検討委員会、アレルギー委員会、在宅医療委員会):

都民と直接接触を持つ大切な部門であるが、各部門(委員会)と相互に連絡協力し、また外部関連組織とも提携を持ちながら都民の健康保持と向上に尽くす。

8)休日診療部:大綱はすでに述べたが、今後も都内の耳鼻科領域に生じた救急患者に対して安定した初療が提供され、また担当医師が不安なく業務に集中できることを目指す。

従来に増し都医師会、東京都との連携を密にし、先述のセンター方式体制の実現に努める。

9 医療制度部:医事法制の改定の折りには、正確な解釈と対応を会員に伝達する。医療事故事例を紹介しその分析から事故の防止や対応を伝える。

10)緊急時対策委員会:届け出義務のある感染症あるいは新型の感染症の蔓延が危惧される場合、或いは広範な災害発生時に本委員会を招集し、実態と対処方針をただちに都耳鼻から発信できるような機能が備わるよう努める。

 

終りにあたり

近年の社会情勢を顧みますとICT化は日常生活のすみずみにもおよび止まることのないように思われますが、これから派生するようにディープラーニング技術の進化が医療の世界にも浸透し、コンピューターが処理し判断する能力は飛躍的に向上しました。放射線撮影像の読影や胃内視鏡検査において胃内所見から病変を診断する力は補助診断手段として極めて有用と言われ、いずれは耳鼻科領域にも活用がされようとしています。

 くしくも本年は31年間にわたる“平成”と決別し、4月よりは新しい年号の年を迎える意義深い年にあたります。都耳鼻としましても4月から新年度の事業に向かって始動しますが、同時に継続事業にありましても心を新たに業務に取り組み、広く各界とも連携を保ちつつ地域医療の向上に努め、都民のために尽くして行く所存でおりますので、従来に増したご支援ご協力を賜りますよう重ねてお願い申しあげます。

 

 

 

1. 庶務部

 

1)地区代表者会 年1回(定例)、緊急の場合は臨時に開催する

2)理事会 月1回(定例)、必要の場合は臨時に開催する

3)地区医会長協議会 年1回(定例)地区医会との連携を強めるため開催する

4)日耳鼻東京都地方部会医療研究会 年1回(定例)日耳鼻学会東京都地方部会との連絡会に参加する

5)日耳鼻学会東京都地方部会と常時連携し、東京都医師会、東京都各科医会協議会とは必要の都度連絡協議すると共に、本会の要望を反映せしめるよう努める

6)緊急時対策委員会を必要に応じ招集する

7)年々増大する本会の事務量を効率良く処理し得るよう事務機構を整備する

8)情報の面から本会の組織と運営を再検討する

9)会則検討委員会を必要に応じ開催する

10その他本会の会務遂行に必要な事項の処理に当たる

 

2. 財務部

 

1)地区耳鼻咽喉科医会の会計担当者と連絡を密にし、会費の納入の正確を期する

2)諸経費を適正に運用し、会務及び事業の運営を円滑にする

3)収入増、支出減を期し、東京都耳鼻科医会会計の更なる安定を図る

 

3.広報部

 

1)「都耳鼻会報」を継続し、原則として年3回発刊する

  また、広報委員会にて掲載内容を協議する

2)理事会における協議内容や決定事項を掲載し、医会の主張を内外に広報する

3)学術講演会の論文、トピックスとなる学術的事項や保険医療のページの充実をはかる

4)会員の関心事を正しく反映させ、必要な情報の伝達をはかる

  また医療情報に関連し、今後予定される通達や改定事項を明確に伝える

5)地区医会の動きや新入会員の紹介を行う

6)会員同士の意見交換と親睦に役立つ会報の発刊を志す

7)東京都各科医会協議会の広報活動に協力する

8)広告掲載会社の増加に努力する

 

4.情報処理部

 

1)ホームページの管理運用

「都内の休日の耳鼻咽喉科(救急)」を今後も毎月更新する

医会講演会の予定を継続して載せる

  その他情報を適宜更新し、常に新鮮で有効な情報を提供する

2)インターネット等より得られた医療情報の提供

3)医療機関に求められているICT技術等の情報の提供

4)事務局のICT

  理事会でパソコン・プロジェクター・無線LANを活用していく

5)事務局で使用するパソコンの買い替えをする

6)講演会で用いるカード管理システムの環境を整える

 

5.学術・研修部                         

 

1) 会員が耳鼻咽喉科医として必要な知識および技術の向上を図るとともに、新専門医制度での耳鼻咽喉科専門医更新に必要な専門医共通講習および耳鼻咽喉科領域講習の受講単位を取得できるように、学術講演会・講習会を年4回以上開催する

2) 講演内容は、日常診療に役立つものから最先端医療にいたるまで多岐にわたって取り上げる

3) また保険診療に関する情報を適時提供する

4) 講演会・講習会終了後には、講師を交えた情報交換会を可及的行う

 

6.専門医委員会

 

1)新専門医制度への対応について引き続き検討する

2)医会の主催する共通講習・領域講習の申請書を、日耳鼻専門医制度委員会に提出する

  認可された講習会においては、本年度よりICカードを用いた受講システムを導入する

  また開催後報告書を速やかに専門医機構に提出する

3)ホームページに講習会の予定を掲載する

4)講習会の内容を都医会報誌に事後掲載する

 

7.社会保険部

 

1)日本耳鼻咽喉科学会(以下日耳鼻学会)並びに日本耳鼻咽喉科学会東京都地方部会(以下東京都地方部会)の保険医療委員会と密接に連絡をとり、日耳鼻学会及び東京都地方部会の開催する会議に参加し、必要な情報を会員に提供する

2)都耳鼻医会の学術講演会でワンポイントアドバイスとして保険医療に関する情報提供を行う

 

8.福祉部

 

1)医業経営についての情報を収集整理し、会員に必要な情報を提供する

2)補聴器に関する講習会を開催すると共に実技研修会を行なう

3)医療従事者に対して、聴力検査の講習会を開催する

4)会員の保険事業を継続する

 

9.学校保健部

 

1)日耳鼻学校保健全国代表者会議ならびに研修会、日本医師会全国学校保健学校医大会および学校保健講習会に参加し、必要な情報を会員へ伝達する

2)東京都医師会学校医会、学校医委員会および東京都学校保健会との連携に努め、必要

な情報を会員へ伝達する

3)児童生徒への健康教育の実践に努める

4)障害のある児童生徒への、学校における合理的配慮について検討する

5)日耳鼻学校保健委員会が実施する、健康診断全国定点調査に引き続き協力する

6)日耳鼻学校保健委員会編「学校での音声言語障害の検診法」に基づく、音声言語障害健診の実施と適切な事後措置について、会員への普及と啓発に努める

7)言語発達障害の原因ともなる、軽・中等度難聴児の早期発見とその対応の重要性について、会員への普及と啓発に努める

 

10医療制度部

 

1)医療行政、医療制度に絶えず注目し、諸方面より多くの情報を集めそれを全会員に

通達する

2)医療訴訟、医師の刑事訴追や医療事故の内容、医療事故調等に関する情報を収集し会員に通達する

3)日耳鼻東京都地方部会医事問題委員会と連携を図る

4)東京都医師会医事紛争処理委員会にて発言及び情報収集に努める

 

11休日診療部

 

1)東京都耳鼻咽喉科医会の重要事業としての休日診療を円滑に実施する

2)当番医の欠員のないように、会員への当番医の依頼は早めにおこない、会員の協力を得やすくするなど、休日診療への会員の参加を求めていく

3)休日診療の年間統計を整理し、会員に情報を提供する

4)救急診療検討委員会に参加し、会員にとっても望ましくまた、東京都、都民の要望にもできるかぎり答えられる形となるよう検討する

5)東京都、東京都医師会と上記の目的にそって話し合いをする

 

12. 救急診療検討委員会

 

1) 多くの会員に達成感をもって参加していただけるように検討する

2) 引き続きセンター化について検討する

3)後送病院を充実できるよう検討する

4)東京都福祉保健局、東京都医師会と会合をもつ

 

13地域医療部

 

1)聴覚言語障害委員会

(1)  聴覚・言語障害を行政、教育、医療、社会福祉の面で検討する

     日耳鼻の学校保健委員との連携が必要と考えられる

 

2)アレルギー委員会

(1)  学術・研修部と協力してアレルギー性鼻炎関連講習会を開催する

(2)  花粉症を含むアレルギー性鼻炎に関する情報を収集し、会員配信する

 

3)健診事業検討委員会

(1)  喉頭がん検診

     各地区の喉頭がん検診の成績を集計報告し、喉頭がん検診の普及に努める

(2)  耳鼻咽喉科に関する生涯の健康審査(一歳六ヶ月健診、三歳児健診、高齢者健診

等)について対策検討及び情報収集を行う

 

4)在宅医療委員会

 (1) 多くの耳鼻咽喉科医が在宅診療に参加して下さるよう依頼する

(2)  地区医師会を通し、摂食嚥下障害の講習会を行い、多職種との連携を深める

(3) 毎年定期的に行われている、保健所主催の「摂食嚥下障害対策推進事業関係者協議会」に参加する